自分がランナー膝になった経緯&効率的な予防・治療方法
ランナー膝(別名ランナーズニー)。正式名称は「腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)」
大好きなランニングができなくなる鬱々とした二年間を経て、ようやく今シーズン(一応)回復しました。
もし、これから走り始めようと考えている人の予防、既にランナー膝になってしまった人で一日も早く治したいと思っている人(そして忘れっぽい将来の自分に向けて)少しでも役に立てるよう自分の経験を書きとめておこうと思います。
ランナー膝とは
※「ランナー膝」は時に「ランナーが抱える膝周りの故障全般」を指すこともありますが、ここでは狭義の「ランナー膝=腸脛靱帯炎」の前提で話をしていきます。
ランナー膝の症状については図解で↓が分かりやすいです。
https://www.zamst.jp/tetsujin/knee/runners-knee/
簡単にいうと、お尻から太もも外側にかけて筋肉(靭帯)があります。
でこの靭帯、下は膝で収束するんですが、この靭帯と膝の骨が擦れて靭帯が炎症を起こすのが腸脛靱帯炎です。
ここが予防・治療上ポイントだと思うのですが、原因は言わば「膝であって膝じゃない」んですね。
お尻から膝にかけて繋がっている靭帯が損傷しているわけで、いわゆる「膝(グルコサミン的なお話)」そのものではないのです。
また、一度症状が出ると、早期に完治しないことが多い(安静が一番!なんですが、走るのは諦めたとしても日常生活で歩かないわけにはいかないので、毎日炎症箇所を傷め続ける。回復とダメージのせめぎ合いですね)ので、非常に厄介です。
歩く程度では症状が出ず「治ったかな?」と思って、ジョギングすると10分もしない内に痛みが再発…ということを何度繰り返したことか...
原因
普通に歩く程度では、まずなりません。
ランナーとしてそこそこの練習をすると、一日に何万歩も走ることになります。
しかも走るのは「体重の三倍の負担が膝などにかかる」といわれています。しかも、平坦道ではなく、トレイルの下りなどは更に負担が大きく圧し掛かります。
走ることによる小さなダメージが蓄積して一定以上になると爆発するという意味で「オーバーユース(使いすぎ=擦れ過ぎ)」が原因といえます。
また、副次的な要因としては、走り方(いわゆるプロネーション)も関係していると言われています。
走り方が歪で膝に余計な負担がかかっているという理屈ですね…
ランナーには同じ悩みを持った人が沢山…
https://runnet.jp/topics/qa/180607.html
プロネーションの対策(適正化)としては、フォーム改造や専用シューズの使用などがありますが、個人的にはあまり気にしすぎると、逆にバランスが悪くなったりしますので、極端なフォーム改造は止めたほうが良いと思います(やるなら専門家のアドバイスを)。
真っ直ぐ足を運ぶ「意識」を持つことでまずは大丈夫かと。
また、日本人に多い「O脚」も遠因の一つと言います(そんなこと言われても仕方ないけど…)、O脚だと膝が外側に出っ張るので、靭帯とより擦れ易いというわけです。
自分の場合
自分の場合、今から振り返ると完全に無謀なランで「脚をぶっ壊し」ました。
平地でも走ったことがない「未知の長距離」を上り下りが続く「トレイルランニング」で「ペースを無視した負荷」で走った結果、下りで脚が崩壊。
そこでリタイヤすべきでしたが、脚を引きづるようなレベルで「残り20kmの山道」を進んだ結果、ゴールはしたものの「脚が完全崩壊」したのでした…チャンチャン。
皆さん、リタイヤ(引き返す)のも勇気であり、戦略の一つです。
自分の場合、この無理が祟って二年間満足に走ることができませんでした。リタイヤすれば次の年も走れたかもしれないのに…
予防法
行き着く所は「オーバーユース」ですので、「走らなきゃ良い!」というのが究極の結論なのですが、ランニング愛好家としては、そうも言ってられないですよね。
症状がまだ出ていない人は次のような点に気をつけると良いと思います。
メリハリのある、そして段階的な練習量を
経験が少ないうちは、毎日長距離を走るのは控えましょう。(長距離の定義は人それぞれですが足(筋や骨などがピリピリする、ピキピキする等)が痛くなるのは走りすぎです。ただし筋肉痛はケアできるなら、あまり気にする必要はないです。)
少しずつ自分の「セーフティー距離(走っても大丈夫な距離)」を延ばしていきましょう。
休息、ケアをしっかりと
休むも練習。という言葉があります。疲れが溜まっているなと感じたら休息日を設けましょう。
そして、マッサージ・ストレッチや栄養面での体のケアを欠かさないようにしましょう。
疲れるとフォームが崩れて、負担の大きい(ドタドタした)足運びになるなど間接的にもダメージを増やす結果になります。
固くなった筋肉や筋をほぐすために患部を揉んだり、鍼灸院に通ったりするのも有効と思います。
ストレッチについてはクロスストレッチと言ったりしますが、こういうのが腸脛靱帯を伸ばすのに適切です。普通のストレッチだと、腸脛靱帯=ふとももの「外側」って中々のびないのです。
また、股関節のストレッチも非常に重要だと思います。
上記の通りランナー膝が「膝」だけの問題とすると理解できないと思いますが、これは「靭帯」の問題です。
股関節が固いと脚運びが窮屈に(そして所謂O脚的な動きに繋がることが分かるかと思います)なり、結果靭帯へのダメージ蓄積が増進されます。
この症状は「膝」だけではなく、腸脛靱帯(そしてこの大きな靭帯をキチンと動かすには脚全体)のケアが必須です。
柔軟な筋肉・靭帯で、効率の良い脚運びをすることが根本的な予防方法ということですね。(言うは易し😅。自分も全然なのに…)
練習にバリエーションを
トレーニング効果から言っても、毎日ダラダラ長距離を走るより、適度に短中距離のスピード練習を取り入れる方が心配能力向上の観点から効果があります。
また、個人的な経験から、同じような「足」を動かす運動でも、動かし方が違うと痛みが出ません。
自分の場合「トレイルランニングの下り」で炎症が悪化しました。
なので、少し経って「激痛」状態が治まると、上り坂を歩いてもあまり傷みが出ませんでしたし、水泳や自転車も問題ありませんでした。
しかし、「下り」になると、歩こうが何しようが直ぐに激痛が復活しました。
要は、同じ方向に使いすぎると炎症になるので、毎回同じコースを走るのではなく、平坦走る日、上りを走る日、自転車の日などトレーニング方法を少し変えるだけで、炎症の予防効果が期待できるというわけです。
サポーターやシューズ、インソールなどの活用
個人的にはあまりお世話になっていないのですが、これらのサポートグッズがかなり良いという人もいます。
良いものは結構な値段がしますが、お金で怪我を防げるのなら、その価値は大いにあると思います。
サポーターだと定番どころはザムスト
効果のあった治療(回復)方法
そして、不幸にももう既に症状が出ている方。自分の経験を元にお話します。
ちなみにですが、上記の予防方法は治療方法としては基本的に効果は薄いです…勿論「更なる悪化」を防ぐのには役に立つのですが。
安静、安静、とにかく安静
がっかりされるかもしれませんが、恐らくこれが早く治す唯一の方法です。
ちなみに激痛の状態では「○冷やす」のが正解です。「×温める」
いわゆる筋肉痛のような疲労回復(老廃物の除去)には温める方が良いですが、擦れて炎症になってしまったら、落ち着くまでは冷やして炎症を鎮めましょう。
筋肉痛はいわゆる回復走と呼ばれる、軽い運動が推奨されるケースもありますが、しつこいようですが腸脛靱帯炎は炎症です。
炎症になっているのに、同じ運動をするのは、傷口をナイフでえぐる行為です。
痛みが引いたと思っても、直ぐに本格的なランニングを再開するのではなく、様子を見つつ「セーフティー距離」をちょっとづつ広げてください。
焦って、治りかけで走り始めると、また直ぐに再発します。
この症状には、正に急がば回れという言葉が当てはまります。
「早く治したい!また走りたい!」という気持ちは痛いほど分かりますが、「休むことが再び走り始める近道」です。
ストレッチとマッサージ
特にマッサージは、凄く有効です。
靭帯というのは、特に膝付近は収束しているので密度が高くそもそも固いです。
で柔らかい筋肉がダメージを追っても比較的早く回復しますが、固い部分(筋)がダメージが受けると回復に時間がかかります。(新陳代謝の速度が全然違うというか。)
腸脛靱帯炎の痛みが出る膝の外側及びその周辺を指で揉むと、かなりコワバっており、痛いと思います。
しかし、毎日少しずつ揉み解すと段々とコワバリが緩み、新陳代謝(=回復)しやすいというのが実感できるはず。
勿論あまりやり過ぎても良くないでしょう。
痛みが出ている患部は、一回30秒、一日3回くらいで良いと思います。やるのとやらないのでは、治りの早さが全然違います。
あくまで私個人の症状ではありますが、回復方法としては、ストレッチや薬(鎮痛塗り薬)は効果をあまり実感しませんでしたが、この揉み解しだけは効果を実感しました。
また、お尻から太ももに掛けての靭帯全体を揉み解すこともお忘れなく。これは「膝(痛みが出ている患部)」だけの問題ではないのです。
と言ってみた所で、回復のメインは「自然治癒」力です。安静が主役であることはお忘れなく。
スポーツ医院や鍼灸院にも行きましたが、結局は「即時回復」する術はないと言われました。
強い痛み止めを打って、一時的に誤魔化すことはできますが。
医者からは、(回復ではないが予防として)骨を削って靭帯が擦れなくすることはできるといわれましたが(怖っ)、結局それも根本的な解決になるかは分かりません…
少しでも同じ症状に悩むランナーの参考になれば幸いです。時間とケアは必要ですが、対策(予防・回復)は可能な症状だと思います。
より長く、早く、楽しく走るためにも、日ごろのケアを大事にしましょう!!😉