ロードレース選手にはタイプ(脚質)がある!!専門職人芸を見逃すな!!

前回ロードレースはチーム戦であり、チェスに例えるならば各駒をどう活かすかが勝負の分かれ目という話をしました。今回はその駒のタイプ脚質と言ったりします)がどんなものがあるのか見ていきます。

この脚質というか役割が異なることにより、選手の体格が明確に違ったりしますし、「クライマーなのにスプリント勝負で勝った!」みたいな驚きや興奮にも繋がっていきます。要はレースを面白く見る要素の一つと言えます。

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例外もアリアリですが、こんな風に分類されます。

スプリンター

稲妻のごとく「短距離をハイスピードで進むのが得意な人」です。花形ですよね。マラソンで言う所のラストスパートが得意な選手ですね。基本的に爆発的なパワーで回していくので、体格も大柄な選手が多いです。

「短距離が得意」と言っても、山を越え谷を越え200km位進んだその先の最終局面が見せ場だったりするので、一般人からするととてつもない持久力も兼ね備えている怪物達です。

ちなみに、レースによってはコースの各所に「スプリント地点」が設けられており、途中経過でも一位で通過するとスプリントのポイントがもらえます。そして、そのトップはツールでは「マイヨ・ヴェール(緑色のジャージ)」を着る権利が与えられます。近年はぺテル・サガン選手が独占してますね。

緑色のジャージを着た人は、短距離めっちゃ速いと覚えておきましょう。

クライマー

そのままの意味ですが、「(上り坂をスイスイ)登る人」です。スプリンターとは反対に小柄な選手が多いです。

上りは重さ(体重+車重)が速度に直結します。当然軽い方が有利ゆえ、小柄な選手の見せ場となります。ちなみにレベルの高いレースであるほど、高低差がある山岳コースと呼ばれる所が勝敗の行方を決するので、優秀なクライマーは単純に「上りが得意なだけ」ではなく、総合優勝にも絡んでくることが多いです。

スプリント賞と同様、コース途中の上りきった地点などに「クライム地点」が設定されており、ポイントが多い選手が「マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージ(白地に赤い水玉のジャージ)」(長いのでマイヨアポアとか水玉ジャージと呼ばれることも)を着る権利を有します。

水玉ジャージは「山岳王」の証と覚えてください。

ルーラー

上の二つに比べるとちょっと地味ですが、「中高速域の巡航速度を維持するのが得意な選手(どんな地形でもソコソコこなす選手)」です。

地味ながらも、エースを活かすべく隊列を組む際には重要な役割を果たす人で、名わき役(最近はバイプレーヤーといいますか?)ないぶし銀タイプですね。

タイムトライアルが得意な選手も多いです。

パンチャー

ちょっとイメージが難しいタイプですが、「加速性に優れていてアタックが得意な選手」です。タイプとしてはスプリンターに似ているのでしょうが、レース中何度もアタックするような持久力(精神力?)を備えていることが特徴でしょうか。

オールラウンダー

意味はまんまですが「全てに秀でた人」です。

色々と分類してきたのに、これアリ?😅って感じはしますが、個人的には「俺はオールラウンダーだ!」というものではなく、色々な要素が詰まっているロードレースに勝利した人が「オールラウンダー」という気がします。

山アリ、谷アリ、平地アリ。過酷なロードレースで総合勝利する選手は、壊滅的に苦手な場面というのがありません(あったら勝てません)😯

総合1位の選手は特別な色のジャージを与えられることが多く、ツールでは「マイヨ・ジョーヌ(黄色のジャージ)」が与えられます。黄色のジャージを着ている選手が、その日の出発時点で総合タイムが1位の選手です。ツールではこの黄色のジャージの争奪戦が繰り広げられ、これを着てパリのゴール地点にたどり着いた選手が最終的な総合優勝者です。

最後に

各タイプを紹介してきましたが、現実にはどれか一つに当てはまるような単純なものではないと考えてください。スプリント王であるサガン選手は実は上りも凄く速かったり(もっと言うとこの人は下りもめちゃ得意)、複数のタイプが当てはまることも少なくないです。(というかオールラウンダーがある時点で、あまり意味のない区分けとも言えるかもしれません😓)

特に初心者は、変に自分をタイプ固定しない方が良いです。上りが苦しいからクライマーじゃないとか(誰だって特に慣れない内は上りは苦しいんです)言っても始まりません。とある全日本クラスのスプリンターも「スプリントは才能じゃなく、トレーニングの結果」と言ってました。まずは練習あるのみですね😀

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父ペンギンのように”何の得意分野もない”と言う意味のオールラウンダーもいるよ。