バイクの上で”Shall we dance”??自転車のダンシングって何だ??

知ってる人は知っている、知らない人は知らない(当たり前😅)ロードバイク用語の一つ「ダンシング」。選手が勝負所で使うこともあれば、ホビーライダーが楽に走行するためにも便利なスキルです。

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バイクで「ダンシング(踊る)」って、何?

そもそもダンシングって?

簡単に言うとサドルにお尻を付けない「立ちこぎ」のことです。ちなみに対義語は「シッティング」(サドルに座って走行)なんて言ったりします。

何で「ダンシング」なのかと言うと、立ちこぎの時に強いトルク(力)を掛けるために、自転者を傾けることがあります。当然左右交互にリズミカルに脚を回していくので、腰やサドルが「左右にフリフリダンス」しているように見えるからなのです。

状況としては、スプリント等で最大出力を出している時や苦しい上り坂を登っている時に使われることが多いので「ダンシング」という楽しげな響きとは裏腹にライダーはかなり苦しい状況だったりするんですけどね。

二種類のダンシング

細かく見ていくと選手により無数の形があるダンシングですが、大きく分けると「攻めのダンシング」「守りのダンシング」があります。

攻めのダンシング

まずは世界最高のスプリンター、サガン選手のゴール前スプリントをご覧ください。 ゴール直前に彼や周りの選手のバイクが突然左右に揺れながら走り出す様子が分かると思います。効率の良いペダリングはバイクがぶれない必要があるので、巡航(と言っても、このクラスの選手は時速40キロ以上だったりしますが😮)している時のバイクは真っ直ぐになっています。 ただしゴール前の決戦では、効率云々ではなく最大出力の勝負になります。この際に使用されるのが「攻めのダンシング」なのです。この時下半身のみならず、上半身を使ってペダルを引き付けるような力が加わるので、大きな力が生まれます。筋力を最大限使っていること、使っている筋肉が体全体であることなどから、長続きはしません。数十秒程度の勝負所だからこそ使えるテクニックです。 ちなみにトップクラスのスプリンターのスピードは時速70キロ程度。恐ろしい…

守りのダンシング

上のダンシングは効率を度外視した出力優先のテクニックなのに対して、そうじゃないダンシングもあります。(ただ、こちらは”ダンス”の要素は弱く、個人的には”立ち乗り”と言った方がしっくりきますが) 非常に分かりやすく解説してくれている動画です。 守り(休める)ダンシングは、いわば足を重力に従いリズミカルにストン、ストンと落としていくようなテクニックです。これ、もの凄い(選手じゃなく、ホビーライダーの日常でも)使えます。 上体を起こして、ハンドルの握りをブラケット上部か上ハンドルにすると、やり易いと思います。 そして、大切なのがギアの重さ。重すぎるとストンと(力を入れないと)落ちません、軽すぎるとストンストンのリズム(ケイデンス)が速すぎて逆に疲れます。足が自然に落ちていくような適切なギアを選んでください。 ヒルクライムの時や、平地であっても疲れてきた際に、気分転換(使う筋肉を変える)としても使えるので、是非とも早期に習得しておきたい技術です。

ダンシングの注意点

攻めるダンシングは慣れない内は無理してやらなくても良いです。バランスを崩すリスクがありますし、出力に全神経を使うことになるので、周りの状況が見えなくなるかもしれません。ダンシングは空気抵抗の観点からはもの凄く効率が悪いので、下手な(出力の低い)ダンシングより、エアロなポジションのシッティングの方が早いこともあります。 一方で休めるダンシングは、疲労軽減などホビーライダーとしても恩恵が多いので、練習してみましょう。自分はレースでも(練習不足から)筋肉がすぐ痙攣しそうになりますが、そんな時守りのダンシングで一息つくことが多々あります。 なお、漫画「弱虫ペダル」には巻島先輩という人気キャラクターがいて、彼はヒルクライムの際に極端なダンシングすることで知られています。しかし、あれは絶対角度やり過ぎ😆です。速いとか遅いとか以前にあんなに傾けたら、絶対落車します。勿論漫画上の演出だってのは分かりますけど。 ダンシングは結果として左右に”振れる”ものであって、意図的に大きく”振る”ものではないことを覚えておいてください。
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守りのダンシングは広く使えるテクニックなんだね。